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アジア主要国のインバウンド決済最前線 Part 1

4/22/2024
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スピーディかつ安全で、シームレスな決済は、ストレスフリーで快適な旅行体験を促す。反対に、スピードが遅く、危険性や問題をはらむ決済は、予約エラーや詐欺被害など、旅行に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

本シリーズ記事では、筆者が体験した、東アジアの主要市場におけるレジャーおよびビジネス旅行中のインバウンド決済を振り返り、各市場が外国人旅行者を迎える上で評価すべき点および問題点を浮き彫りにする。Part1では日本と台湾を、Part2では中国本土と香港特別行政区を取り上げる。

日本のインバウンド決済

2023年、日本におけるインバウンド決済の40%をクレジットカードが占めた 

出所:ユーロモニターインターナショナル Passport, Travel

日本国内を旅行した際に感じた大きなハードルのひとつは、プリペイドカード(ICカード)が都道府県によって細分化されていることだ。例えば、首都圏ではSuicaやPasmo、関西圏ではICOCA、札幌圏ではKitaca、などといった具合である。初めて日本を訪れる外国人旅行者が地域間を移動する際、これが原因で混乱することがあるかもしれない。

Visaのタッチ決済は、福岡市内の地下鉄や富士山付近のバスなど、日本各所の交通機関で目にする機会が増え、複数の都市間を移動する外国人旅行者にとっては、この支払い方法だけで各都市での決済を完結することができるようになった。現在、旅行者は目的地ごとに新たなプリペイドカードを取得する必要がなくなり、スムーズに日本国内を旅行することができる。各都道府県の主要鉄道会社は、2025年に大阪で開催予定の万博に合わせて、非接触型決済(タッチ決済)可能なクレジットカードおよびデビットカードを利用可能にする計画を発表している。

2019年、訪日外国人数の国別ランキングTOP5のうち4ヵ国が北アジアの国々(中国、韓国、台湾、香港)だった

出所:ユーロモニターインターナショナル Passport, Consumer Finance

日本は、訪日外国人にスムーズな旅行体験を提供するため、上記の国々になじみのある決済オプションを導入し始めた。パンデミック以前は中国からの入国者数が全体の3分の1を占めていたため、中国で人気の高い決済手段であるAlipayやWeChat Payが、交通手段からショッピング、エンターテイメントに至るまで、日本国内の至る所で利用可能となった。これらの包括的な決済手段は、中国からのインバウンド旅行者に高い利便性をもたらしている。

また、円安の影響により、日本は中国以外にも世界各国、特にアジア太平洋地域を中心に、人気の目的地として旅行者を引き付けている。

ソフトバンク傘下のPayPayは、Kakao Pay(韓国)、E.SUN Wallet(台湾)など、アジア太平洋地域の9つのキャッシュレス決済サービスと連携していたが、2024年に入り、さらにNAVER Pay(韓国)、OCBC Digital(シンガポール)を含む、8つのサービスとの連携を新たに開始した。

2023年、PayPayがアジア太平洋地域の9つのキャッシュレス決済サービスと連携したことで、日本はインバウンド旅行者の70%にデジタルウォレット決済オプションを提供することが可能になった

出所:ユーロモニターインターナショナル Passport, TravelScreengrab from EMI's Travel system

台湾のインバウンド決済

2023年、台湾のインバウンド旅行者による現金決済の割合は10%減少した 

出所:ユーロモニターインターナショナル Passport, Travel

台湾でのインバウンド決済は、依然としてクレジットカードとプリペイドカードが中心である。依然としてプリペイドカードが強いことは、政府の補助金制度である「Taiwan the Lucky Land」キャンペーンにも見ることができる。同キャンペーンに当選した外国人個人旅行者は、当選金を、ホテルバウチャーまたはプリペイドカード(チャージ済みEASYCARDやiPassなど)の形態で受け取ることができる。

台北の桃園メトロでは、国際線旅客が空港から台北市内への移動に非接触型決済サービス「タップアンドゴー」を利用することができる。一方、台北市内の台北メトロは現在、現金またはEASYCARDのようなプリペイドカードのみ受け付けているが、より多くの支払いオプション、特にオープンループの導入が計画されている。また、台北メトロは、スムーズで便利な旅行者体験を提供するため、2025年頃に非接触型あるいはQRコードによる決済オプションを導入する予定だ。

さらに、LINE Payのようなデジタルウォレット決済オプションも増えている。今後数年間は、中国、日本、香港、韓国などからのインバウンド旅行者数を増やす手段の一つとして、より包括的な決済オプションを導入する動きが期待されている。Screengrab of EMI's travel system

東アジアのインバウンド決済におけるパートナーシップの重要性

人気旅行先である東アジアの国々では、プリペイドカードの返却や現金の両替といった負担を軽減するため、カード会社(Visaなど)やテック企業(Ant Group、Stripeなど)との相互連携を強化し、外国人旅行者のニーズに応えている。例えば、デジタルウォレット決済は中国本土やインドネシアで人気があり、日本でも普及が進んでいる。また、カード決済の普及率が高い市場は日本、韓国、香港、シンガポールといった国々だ。Chart showing Key East Asian Destinations' Top Five Source Markets for Inbound Tourism (2023)

カード会社、特にVisaは、公共交通機関や小売店でのタッチレス決済の導入を推し進めており、その取り組みは特に日本や香港で顕著である。

また、QR決済については、Ant GroupとUnionPay(銀聯)がそれぞれAliPay+とUnionPay(銀聯)のQRネットワークを利用し、クロスボーダー決済を可能にするため、積極的に各地域の銀行やデジタルウォレット事業者と提携を結んでいる。

Part2では、中国本土と香港特別行政区におけるインバウンド決済に関するインサイト、インバウンド決済の展望と、そこから導かれる主な事業機会を分析する。

本トピックに関するより詳しいインサイトについては、有料レポート「Embedded Finance Ecosystem: Mapping the Path to Services Industries’ Transformation」「Fintech’s Next Phase」をご活用ください。旅行とロイヤルティに関するインサイトについては、ブログ記事「Rewards Redefined: Innovating Customer Interaction For Lasting Loyalty」、「Top Trends for Travel in 2024」も合わせてご覧ください。

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