今日のビジネス環境では、成長力と競争力を維持するために、より迅速で優れたイノベーションの創出が求められている。しかし、創造的なアイデアを思い付いたとしても、スピード感を持ってそれを実現させることは、決して容易なことではない。
だからこそ、企業は市場で自社ブランドの存在を保ちながら、優位性を維持するため、新製品の発売を成功させるための強固なプロセスを確立する必要がある。
ユーロモニターは過去20年以上にわたり、世界的なブランド、ベンチャー企業、中小企業と提携し、オーダーメイドのイノベーションソリューションを共同で設計し、彼らの戦略の開発をサポートしてきた。その中で、どのようなイノベーション計画が実を結び、結ばなかったのかを目の当たりにしてきたほか、企業やブランドが直面する様々な課題の克服を支援してきた。
本文では、イノベーション戦略や新製品開発において企業が犯しがちな5つの大きな失敗を紹介する。
1. 事前準備が不足している
企業には、しばしば厳守すべきプロセスとタイムラインがある。しかし、厳格な制限を敷くことは、新製品開発の重要な第一段階、つまり「消費者が抱いている本当の課題を理解する」ために必要な時間を、担当チームが削る、または制限してしまう原因になりかねない。
カギとなるのは柔軟性だ。イノベーション創出における最初のステップでは、明日の消費者および消費者ニーズを特定、理解するために、時間と労力をかける必要がある。顧客の悩みや課題を理解せずに、果たして成功するイノベーションを創出することができるだろうか?
2. 既存領域にこだわりすぎる
既存領域に捉われ過ぎてはならない。現在参入中の業界や市場だけでビジネスチャンスを探している企業は、カテゴリーの境界線がしばし曖昧であり、新たな製品用途が生まれ、速いペースで変化を続ける消費財の世界で、更なる発展を見込むことはできないだろう。
より広範な視野を持つことが重要である。世界的、社会経済的、人口統計的なトレンドに加えて、関連業界の動きにも目を向けるべきだ。アンテナを伸ばし持つことで、イノベーションに新たなアイディアを付与することができる。このような広い視野を持つことで、パターンを発見し、破壊的イノベーションにつながるきっかけを見つけ出すこともあるはずだ。
3. 概念に囚われすぎる
枠を超えたアイデアを生み出すには、既成概念にとらわれない発想が不可欠であることは言うまでもない。かと言って、メガトレンドのような広範な概念をもとに、消費者の具体的な行動の全容を評価するだけでは十分とはいえない。
企業はより長期的かつ業界横断的なトレンドの影響を評価すべきである。そして、それらが自社のビジネスにどのように影響するか、どのように対応できるかを判断することだ。それにより、より深いレベルのアイデアに到達し、消費者の永続的な行動変容に沿った、弾力性のあるソリューションを開発することができるだろう。
4. 課題の解決ではなく、ソリューションの創出にフォーカスしている
企業はしばしば、本当に求められているソリューションが何なのかを見極める前に、ソリューションの創出を焦ってしまう。
確かにスピードは重要だ。しかし、慌てて開発された製品よりも、適切な調査に基づいた製品の方が、結果的により大きな利益をもたらす。実際、新製品開発の成否を左右する要素は、形状、パッケージ、配送方法、デザインなど、数え上げればきりがない。
そのためには、じっくりと真の課題を見極めることだ。より深く掘り下げて顧客が抱える課題の根本的な原因を明らかにし、それを解決するための複数の方法を考え、その中から最も価値をもたらすであろう選択肢を採用すべきである。
5. ゴールでつまづく
企業は、ベストなタイミングを見計らうことよりも、完璧に仕上げた製品を発売することに執着しがちだ。その結果、先行者利益やチャンスを逃してしまう。最高の製品を持っていても、市場参入戦略の計画が不十分では、最初からつまづいてしまう。
企業全体でイノベーションの俊敏性を高める文化を作り、促進する。同時に、製品マーケティングを後回しにしない。そして機能よりも利用者にもたらすベネフィットを訴求する、消費者中心のストーリーを描くべきである。
イノベーションの創出には、人材を含むリソース、時間、そしてメンバーのコミットメントが不可欠だ。そして最高のアイデアは、異なる様々なクリエイティブな視点からインスピレーションを得て生まれるものである。正しいステップを踏んで5つの失敗を回避し、適切なパートナーと共に、新製品開発を成功に導いてほしい。
ユーロモニターは、様々な企業・ブランドのイノベーション案件をサポートしてきました。貴社にも同様に成功を収めるお手伝いを差し上げることができます。機会の特定から海外市場参入まで、是非ユーロモニターにご相談ください。
グローバルECサイトにおける新製品発売情報の追跡データに興味をお持ちの方は、Innovationの製品ページも合わせてご覧ください。